アオウル博士: ITとセキュリティの専門家。ミマワリの頼れる相談相手。
ミマワリ: アオウルのキャラクター。PCやスマホは毎日使うけど、たまにツールがうまく使えず困ってしまう。
「Office 365にサインインできない!」そんな急なログインエラーでお困りですか?パスワード間違い、PCの古い情報、多要素認証の見落としなど、原因は様々。IT専門家のアオウル博士が、ありがちな原因と3つの具体的な解決策を会話形式で優しく解説。この記事を読めば、慌てず冷静に対処できます。

博士、どうしよう!朝からTeamsにもOutlookにもサインインできなくなっちゃいました。「パスワードが正しくありません」って何度も表示されるんです。絶対合ってるはずなのに…。これじゃ仕事になりません!

おやおや、ミマワリ君、それは焦るのぅ。じゃが、その「絶対合っているはずのパスワードでログインできない」という問題は、Office 365のトラブル相談で最も多いものの一つなんじゃ。慌てず一つずつ原因を探っていけば、きっと解決できるぞ。
本当ですか?僕のPCがおかしくなったのかと…。考えられる原因って何なんですか?

うむ。大きく分けて3つの可能性が考えられるんじゃ。
- 単純なパスワードの問題:思い違いや、Caps Lockがかかっているなど、本当にパスワードが間違っているケース。あるいは、定期的な変更期限が切れている場合もある。
- PC側の古い情報の問題:PCが変更前の古いパスワードを記憶していて、自動的にその古い情報を送ってしまい、エラーになっているケース。
- 多要素認証(MFA)の問題:セキュリティ強化のための追加認証のステップで、通知を見逃していたり、うまく届いていなかったりするケース。
では、この順番で解決策を試していこうかの。
ステップ1:急がば回れ!パスワードをリセットしてみる
えっ、リセットですか?でも、パスワードは合ってると思うんですけど…。

その「思う」というのが曲者なんじゃ。大文字と小文字を間違えていたり、無意識に余計なスペースを入れていたり、自分では気づきにくいミスは意外と多い。また、会社のルールで90日ごとにパスワード変更が義務付けられていて、ちょうど期限が切れた直後かもしれん。ここで悩むより、一度リセットして確実なパスワードを再設定する方が、結果的に一番の近道になることが多いんじゃよ。
【パスワードのリセット方法】
方法は主に2つある。
- 管理者に依頼する:会社のIT担当者や情報システム部に「Office 365にログインできなくなったので、パスワードをリセットしてください」とお願いするのが一番確実じゃ。
- セルフサービスでリセットする:会社が許可していれば、Office 365のログイン画面にある「パスワードを忘れた場合」や「アカウントにアクセスできない場合」といったリンクから、自分でリセット手続きを進めることができる。事前に登録した電話番号やメールアドレスに確認コードが送られてくるはずじゃ。
なるほど…。じゃあ、まずはIT担当の鈴木さんに連絡してリセットしてもらいます!…はい、新しい仮パスワードをもらって、再設定しました!これでどうだ!…あれ?博士、まだログインできません…。同じエラーが出ます。

ふむ。パスワードが新しくなったのにログインできないとなると、いよいよ2番目の原因、「PC側の古い情報」が怪しくなってきたのぅ。次のステップに進むぞ。
ステップ2:PCの記憶を大掃除!「資格情報マネージャー」をクリアする
ミマワリ君のPCは、親切心から「一度入力したIDとパスワードは覚えておこう」とする機能がある。じゃが、パスワードを変更した時に、その古い情報を参照し続けてしまうことがあるんじゃ。そこで、その記憶を一度キレイに消してやる必要がある。そのための道具が「資格情報マネージャー」じゃ。
【資格情報マネージャーのクリア手順】
- Windowsの画面左下にある検索ボックスに「資格情報マネージャー」と入力し、表示されたアプリを開く。
- 「Web 資格情報」と「Windows 資格情報」という2つのタブがあるので、「Windows 資格情報」をクリックする。
- 「汎用資格情報」というセクションに、保存されている情報の一覧が表示される。この中から、「MicrosoftOffice」や「OneDrive」、「MS.Outlook」といった、Officeに関連しそうなものを一つずつ探す。
- 見つけたら、その項目をクリックして詳細を表示し、「削除」をクリックする。確認画面が出たら「はい」を押すんじゃ。怪しいものは全部削除してしまって構わん。
- 関連しそうな資格情報をすべて削除したら、PCを一度再起動する。
- 再起動後、改めてTeamsやOutlookを開くと、IDとパスワードを最初から入力する画面が表示されるはずじゃ。ここに、先ほど再設定した新しいパスワードを慎重に入力してみるんじゃ。
へぇー、PCの中にそんな情報を記憶してる場所があるんですね。知りませんでした!手順通りに…「資格情報マネージャー」を開いて…「Windows 資格情報」…あ、ありました!「MicrosoftOffice16_Data」みたいなのがたくさん!これを全部削除して…と。よし、再起動します!…さあ、今度こそ!…あれれ?博士、まだダメです…。また同じエラーです。僕、何か呪われてるんでしょうか…。

ステップ3:最後の関門? 多要素認証(MFA)の通知を確認する
はっはっは、呪いではないぞ。ここまで来たら、原因はほぼ一つに絞られた。ミマワリ君の会社では、セキュリティを高めるために「多要素認証(MFA)」を導入しておるじゃろう?パスワードを入力した後に、スマートフォンに通知が来たり、SMSで数字のコードが送られてきたりする、あの一手間じゃ。
パスワードの入力自体は成功しておるのに、その次のMFAのステップで止まってしまっている可能性がある。PCの画面では「パスワードが違う」と表示されていても、実はMFAの応答待ちでタイムアウトしているケースが非常に多いんじゃ。
【MFAの確認ポイント】
- スマートフォンを確認する:ログインを試した直後に、スマートフォンのロック画面や通知センターに「Microsoft Authenticator」アプリからの「サインインを承認しますか?」という通知が来ていないか、隅々まで確認する。
- 認証アプリを直接開く:通知が来ていない場合でも、電波状況などで遅れていることがある。「Microsoft Authenticator」などの認証アプリを自分で開いてみて、承認要求が届いていないか確認するんじゃ。
- 別の認証方法を試す:もし「別の方法でサインイン」といった選択肢がPCの画面にあれば、それを選んでみる。SMSでコードを受け取る、電話で確認するなど、別の手段で認証できるかもしれん。
あ!多要素認証!そういえば、いつもスマホに通知が来てました!えーっと、スマホを見てみると…あ…!!「サインイン要求」っていう通知が来てます!気づきませんでした!これを「承認」っと…。うわっ!博士、ログインできました!TeamsもOutlookも全部使えるようになりました!

うむ、解決じゃな!案外、灯台下暗しじゃったようじゃの。PCの画面だけに集中していると、手元のスマホへの通知を見逃してしまうことはよくある。これで一安心じゃ。
【まとめ:Office 365にログインできなかったら】
- ステップ1:パスワードをリセットする。
- ステップ2:資格情報マネージャーで古い情報を削除する。
- ステップ3:スマートフォンのMFA通知を確認する。
この3つの手順を順番に試せば、ほとんどのログイン問題は解決できるはずじゃ。困ったときは、このコラムを思い出して、落ち着いて対処するんじゃぞ。