アオウル博士: ITとセキュリティの専門家。ミマワリの頼れる相談相手。ネットワーク構築のスペシャリスト。
ミマワリ: アオウルのキャラクター。最近、社内のWeb会議で映像が固まることが多くてイライラしている。

オフィスのWi-Fiが遅い、切れる、つながらない…。その原因は「機器の選び方」と「目に見えない電波の干渉」かもしれません。家庭用ルーターと業務用APの違いから、セキュリティ(VLAN)の重要性、最新のWi-Fi 6/7事情まで、快適な社内ネットワーク構築の秘訣を専門家が会話形式で解説します。
博士、もう限界です! さっき大事なクライアントとのWeb会議中に、また画面がフリーズしちゃいました。「申し訳ありません、電波が悪くて…」って謝るの、今月で3回目ですよ。家電量販店で一番高いルーターを買ってきたのに、なんで直らないんですか!?


ミマワリ君、落ち着くのじゃ。そして残念なお知らせがある。「一番高い家庭用ルーター」を買ったこと、それがそもそもの間違いかもしれんぞ。
えっ? 家だと動画もサクサク見れるのに、会社だとダメってことですか? 同じWi-Fiなのに?


全く別物じゃよ。オフィスの無線環境は、家庭とは比べ物にならないほど過酷なんじゃ。今日は「なぜオフィスのWi-Fiは切れるのか」そして「プロはどう構築するのか」を徹底的に解説しよう。
第1章:「家庭用」と「業務用」 決定的な性能差

ミマワリ君、君のオフィスには何人の従業員がいるかね?
えっと、20人くらいです。だから、高性能なルーターなら余裕だと思ったんですけど。


人が20人でも、接続台数はどうかな? PC、スマホ、タブレット、プリンター…。一人2〜3台持っているとすれば、合計で50〜60台になるじゃろう。 ここに決定的な差がある。これを見てごらん。
【接続可能台数の壁】
- 家庭用ルーター:想定は家族数人。同時接続は10台程度で悲鳴を上げ始める。処理能力(CPU)の限界が低い。
- 法人用AP(アクセスポイント):想定はオフィスや学校。50台〜100台がつないでも安定して通信をさばける強力なエンジンを積んでいる。
Web会議が止まるのは、ルーターが「処理しきれません!」とパンクしている状態なんじゃよ。
第2章:見えない敵「死角」と「干渉」をどう防ぐ?
台数の問題だったんですね…。あ、でももう一つ悩みがあって。会議室に行くと、なぜか電波が一本になっちゃうんです。ドアを開けておけばつながるんですけど。


それは「遮蔽物(しゃへいぶつ)」の影響じゃな。Wi-Fiの電波は、金属やコンクリート、断熱材に弱い。 プロが無線LANを構築するときは、なんとなく機械を置いたりはしない。必ず「サイトサーベイ(電波調査)」を行うんじゃ。
このように、図面上で電波の強さを「見える化(ヒートマップ)」する。 「ここは電波が届かないから、もう一台APを追加しよう」 「ここは隣のビルのWi-Fiと干渉しているから、チャンネルを変更しよう」 といった対策を、科学的に行うわけじゃな。
うわぁ、サーモグラフィーみたい! これならどこに置けばいいか一発で分かりますね。適当に置いてたのが恥ずかしいです…。


さらに重要なのが「ローミング」じゃ。 オフィス内を移動したとき、スマホが「遠くの弱い電波」をつかみ続けてしまい、通信が切れることがあるじゃろ? 法人用APを複数台設置して適切に設定すれば、一番強い電波のAPへ自動的かつスムーズに乗り換えてくれる。歩きながらWeb会議をしても切れなくなるぞ。
第3章:そのパスワード、お客様に教えてない? 危険な運用
便利になるのは嬉しいんですけど、セキュリティはどうなんでしょう? 実は、来社されたお客様に「Wi-Fi貸して」って言われたら、社員と同じパスワードを教えちゃってるんですけど…まずいですか?


大問題じゃ! 今すぐ変える必要がある! 社員用ネットワークには、社内の重要ファイルサーバーや複合機がつながっておるじゃろ? 悪意のある人がそこに入れば、データ盗み放題じゃ。
ここで登場するのが「VLAN(バーチャルLAN)」と「マルチSSID」という技術じゃ。
このように、1つのWi-Fi機器から複数の電波(SSID)を出すことができる。
① 社員用SSID:社内サーバーにアクセス可能。
② ゲスト用SSID:インターネットだけ利用可能。社内システムへは一切入れない。
これらを論理的に「壁」で仕切ることで、利便性とセキュリティを両立できるんじゃ。
第4章:Wi-Fi 6、6E、7… 最新規格で世界が変わる
セキュリティも大事なんですね…。 最後に一つ聞きたいんですが、最近スマホの画面に「Wi-Fi 6」って出るんですけど、これって何ですか? 数字が大きい方が強いんですか?


その通り。Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)や最新のWi-Fi 7は、まさに「混雑したオフィス」のために作られた規格なんじゃ。
- 同時通信に強い:道路の車線が増えたようなもので、たくさんの端末が一斉に通信しても「順番待ち」が発生しにくい。
- 省エネ:スマホのバッテリー持ちが良くなる。
- 6GHz帯の利用(Wi-Fi 6E/7):今までの電波(2.4GHz/5GHz)は混雑していたが、新しい「ガラガラの道路(6GHz)」を使えるため、劇的に速い。
これから機器を導入するなら、絶対にWi-Fi 6以上、できれば6Eや7対応の製品を選ぶべきじゃな。
なるほどー! 「業務用AP」を使って、「サイトサーベイ」で置く場所を決めて、「VLAN」でセキュリティを守って、「Wi-Fi 6」にする…。 これ、自分たちだけでやるのは無理ですね(笑)。


うむ。餅は餅屋じゃ。 目に見えないネットワークだからこそ、プロによる設計と構築が必要なんじゃよ。 快適なWi-Fi環境は、社員の生産性を上げ、ストレスを減らす「最強の設備投資」じゃ。いつでも相談に乗るぞ!



















