アオウル博士: ITとセキュリティの専門家。ミマワリの頼れる相談相手。
ミマワリ: アオウルのキャラクター。PCやスマホは毎日使うけど、たまにツールがうまく使えず困ってしまう。

年末の年賀状作成や、業務でのDM発送。「Wordの差し込み印刷」は便利な機能ですが、「印刷したらズレていた!」「連名が出てこない!」といったトラブルが絶えません。実はその原因の9割は、Wordではなく「Excelデータの作り方」にあることをご存知ですか?失敗しないための鉄則とリカバリー方法を、博士と一緒に見ていきましょう。
博士、助けてください!もうすぐイベントの案内状を送らないといけないのに、Wordの「差し込み印刷」が全然うまくいかないんです!プレビューでは良さそうに見えたのに、印刷したら名前がズレてるし、ご夫婦の連名も消えてるし…。もう泣きそうです!

ふむ、それは「差し込み印刷あるある」の典型的な症状じゃな。ミマワリ君、焦ってWordの設定ばかりいじっておらんか?実は、差し込み印刷がうまくいかない原因の9割は、読み込ませる「Excel住所録」の方にあるんじゃよ。
えっ?Excelですか?ただ名前と住所が入力されているだけのリストですけど…。

「ただ入力されているだけ」というのが落とし穴なんじゃ。Wordが正しくデータを読み取れる形式になっていないと、どんなにWord側で頑張ってもズレるし、消える。まずは基本の「Excelの作法」から確認するぞ。
第1章:そのExcel、Wordに嫌われてない?「NG住所録」3つの特徴
僕のExcel、もしかして「NG住所録」なんでしょうか…。何がダメなのか教えてください!

うむ。Wordがスムーズに読み込めるExcelデータには「鉄の掟」がある。以下の3つをやってしまっていないかチェックじゃ。
NG①:1行目に「タイトル」や「日付」を入れている
「〇〇会 名簿リスト 2025年版」などと、1行目に大きくタイトルを書いていないか?
Wordは「Excelの1行目は項目名(氏名、住所など)である」と勝手に思い込む仕様じゃ。余計なタイトルがあると、項目名が正しく認識されず、差し込み設定ができなくなる。
NG②:「セルの結合」を使っている
見栄えを良くしようとして、セルの結合をしてはならん。Wordが「どっちの列のデータ!?」と混乱して、データが飛んだりズレたりする原因のナンバーワンじゃ。
NG③:1つのセルに「郵便番号」と「住所」が入っている
「〒100-0001 東京都千代田区…」のように、1つのセルに全部まとめていないか?
Wordで配置するとき、郵便番号は上の枠、住所は下の枠、と分けたいなら、Excelの時点でも「郵便番号の列」「住所の列」と分けておく必要がある。
うわぁ…全部やってました。「見やすい方がいいかな」と思って…。すぐに修正します!
1行目を「氏名」「郵便番号」「住所1」「住所2」…という項目名だけの行にするんですね。

第2章:なぜか表示されない「連名」問題の解決策
Excelを直したら基本情報は出るようになりました!でも、ご夫婦の「連名」がうまくいきません。奥様の名前が入っていないデータだと、敬称の「様」だけがポツンと表示されちゃうんです…。

あるあるじゃな。Word側の機能(IFルールなど)を使って「名前がある時だけ『様』を表示する」という設定もできるが、操作が複雑でミスの元になりやすい。
ここは「Excel側で解決しておく」のが最もスマートで確実じゃ。
博士の推奨:Excelで「印刷用連名」列を作る
Excelの空いている列に、以下の数式を入れて「印刷用の連名」という列を作ってしまうんじゃ。
※B2セルに連名の名前が入っていると仮定。
こうすれば、「名前が入っている時だけ『〇〇 様』と表示され、空欄なら何も表示しない」というデータが出来上がる。
Word側では、この「印刷用連名」列を差し込むだけじゃ。これなら「様」だけ残るミスは100%防げるぞ。
第3章:ラベル印刷で「全部同じ人」になる怪奇現象
宛名ラベル(シール)の印刷も頼まれたんですが、プレビューを見たら、1ページ目のラベル全部が「1人目の佐藤さん」になっちゃってます!次のラベルには「鈴木さん」を表示したいのに!

それは「Next Record(次のレコード)」という命令が抜けているからじゃ。
Wordは通常、「1ページにつき1つのデータ」を表示しようとする。ラベルのように「1ページに複数のデータ」を表示させたい場合は、「次の枠には次の人のデータを入れろ」と指示せねばならん。
解決策:魔法のボタン「複数ラベルに反映」
- まず、ラベルの左上(1枚目)だけを完璧にレイアウトする(名前や住所を配置)。
- その状態で、[差し込み文書]タブにある[複数ラベルに反映]というボタンをクリックする。
これだけで、2枚目以降の全ての枠にレイアウトがコピーされ、同時に《Next Record》という見えないタグが挿入される。これで自動的に次の人のデータが表示されるようになるぞ。
第4章:数字や日付がおかしい!「書式」のトラブル
だいぶ出来てきました!でも最後にもう一つだけ…。
Excelでは「12月1日」ってなってるのに、Wordに差し込むと「45260」みたいな謎の数字になっちゃうんです。会費の「10,000円」も「10000」になって、カンマが消えちゃいます。

これはWordがExcelの「見た目」ではなく「裏側の数値データ」をそのまま引っ張ってきているからじゃ。
Excelでは日付も「シリアル値」という数字で管理されておるからな。
一番簡単な解決策:Excel側で「文字列」にする
Word側でコードをいじる方法(スイッチ機能)もあるが、初心者はここもExcelで直すのが早道じゃ。
- Excelで新しい列を作り、「=TEXT(A2, “m月d日”)」や「=TEXT(B2, “#,##0”)」のように、TEXT関数を使って「好みの見た目の文字データ」に変換する。
- Wordでは、その変換した列を差し込む。
これなら、Excelで見えている通りのものがそのまま印刷される。カンマも日付も思いのままじゃ。
なるほどー!全部Excel側で「Wordに渡すための準備」をしてあげればよかったんですね。
博士のおかげで、完璧な案内状ができそうです!

それは良かった。「急がば回れ」で、まずはデータの整備をすることが成功の鍵じゃ。一度きれいなリストを作っておけば、来年の年賀状も、再来年のDMも一瞬で終わるぞ。頑張るんじゃよ!