アオウル博士: ITとセキュリティの専門家。ミマワリの頼れる相談相手。
ミマワリ: アオウルのキャラクター。PCやスマホは毎日使うけど、たまにツールがうまく使えず困ってしまう。
Excelが重い、「応答なし」で固まる…そのイライラ、実は簡単な方法で解消できるかもしれません。Excelが重くなる3つの原因「不要な書式」「揮発性関数」「ファイル形式」をIT専門家の博士がミマワリ君に会話形式で徹底解説!あなたのExcelをビフォーアフターで劇的に軽くし、業務効率を爆上げする具体的な手順と裏ワザを学びましょう。
うぅ…博士ぇ…助けてください…。また…またコイツが言うことを聞いてくれません…。

おやミマワリ君、どうしたんじゃ?ディスプレイの前で固まってしまって。…ふむ、画面には「応答なし」の文字。さては、またExcelファイルがフリーズしてしもうたんじゃな?
そうなんです!月次の売上データをまとめているだけなのに、セルを一つ選択しただけでカーソルがくるくる回り続けて…。スクロールしようとすれば画面は真っ白。さっきから30分、この状態なんです。このファイル、大事なデータがたくさん入ってるから、強制終了も怖くてできなくて…。もう泣きそうです。

うむ、心中察するぞ。データが増え、関数や書式が複雑になるにつれてファイルが重くなる…それはExcelを使う多くの者が通る道じゃ。じゃがな、ミマワリ君。その悩み、実はちょっとした知識と工夫で劇的に改善できるかもしれんのじゃよ。
今の【ビフォー】の状態が、「応答なし」で業務が止まる絶望的な状況だとしよう。わしの言う通りにすれば、きっと【アフター】として、大量のデータもストレスなくスクロールでき、複雑な計算も一瞬で終わり、保存もクリックと同時に終わる…そんな快適なExcelライフが待っておるぞ!
第1章:なぜExcelは重くなる? ファイルに隠された「見えない贅肉」の正体
えぇっ、本当ですか!?僕のこのファイルもサクサクになる可能性があるんですか?でも、データ自体が多いんだから、重いのは仕方ないんじゃ…。

もちろんデータの量が影響するのは事実じゃ。しかし、多くの場合、本当の原因はデータの量そのものではなく、ファイルが抱え込んでしまった**「見えない贅肉」**にあるんじゃ。これから、その贅肉の正体を3つ、分かりやすく解説してやろう。
贅肉①:ゴミ屋敷と化した「不要な書式設定」
考えてみてごらん。ミマワリ君のシートには、今は何も入力されていない空白のセルがたくさんあるじゃろ?しかし、過去に一度でも色を付けたり、罫線を引いたり、文字を入力して消したりしたセルは、見た目は空っぽでも「ここに昔、こんな書式が設定されていましたよ」という情報を、律儀に記憶し続けておるんじゃ。これが積もり積もると、まるでゴミ屋敷のように、見えない情報でファイルがパンパンになってしまう。これが重さの大きな原因の一つじゃ。
贅肉②:常に気を配りすぎる「揮発性(きはつせい)関数」
Excelには便利な関数がたくさんあるが、中には「揮発性関数」と呼ばれる、非常に働き者じゃが、おせっかいな奴らがおる。例えばTODAYやNOW、OFFSETといった関数じゃ。こやつらは、シートのどこか一か所でも変更があると、「おっ、何か変わったかな?自分も再計算しなきゃ!」と、関係ない変更にまで反応して計算を始めてしまう。これがシート内に大量にあると、セルを一つ編集しただけで、ファイル全体で計算の連鎖反応が起きてしまい、フリーズを引き起こすんじゃ。
贅肉③:ファイル形式という「服の選び方」
普段、我々が使っているExcelファイルの拡張子は「.xlsx」じゃな。これは例えるなら、デザイン性が高くて誰にでも分かりやすい「お洒落な普段着」のようなもの。しかし、実はExcelには「.xlsb」という、動きやすさを極めた「プロ仕様のスポーツウェア」のようなファイル形式も存在するんじゃ。この「服」を着替えさせてやるだけで、ファイルはもっと身軽に、速く動けるようになることがあるんじゃよ。
第2章:【実践①】Excel大掃除!「不要な書式」という贅肉を削ぎ落とす秘技
なるほど…僕のファイルも、見えないゴミや働きすぎる関数でパンパンになっていたんですね。まずは、その「不要な書式」のゴミ掃除から教えてください!どうすればいいんですか?

うむ、承知した。これから教えるのは、プロも実践するExcelの大掃除術じゃ。3つのステップで進めるぞ。
ステップ①:ゴミの範囲を特定する
まず、Excelがどこまでを「作業範囲」と認識しているか確認するんじゃ。キーボードのCtrl + Endキーを同時に押してみてごらん。カーソルが、シートのはるか右下、データが全くない場所に飛んでいかないか?そこが、Excelが「ここまでがウチの土地ですよ」と勘違いしている最終地点じゃ。データがある最後のセルと、その最終地点との間に広がる空白地帯こそが、ゴミの溜まったエリアじゃ。
ステップ②:不要な行・列を物理的に「削除」する
データが入っている最終行の、さらに一つ下の行番号をクリックする。すると行全体が選択されるじゃろ?そこから、キーボードのCtrl + Shift + ↓キーを同時に押すんじゃ。これで、その行から一番下の行(1048576行目)まで全て選択される。その選択された状態で右クリックし、「削除」を選ぶ。これで、行にこびりついていた見えない書式情報が、行そのものと一緒に消え去るんじゃ。同じことを、不要な列に対しても行う(列を選択 → Ctrl + Shift + → → 右クリックで削除)。
ステップ③:最終仕上げに「すべてクリア」
ステップ②でほとんどのゴミは消えるが、念には念を入れる。データ範囲外のセルを選択し、「ホーム」タブの右側にある「編集」グループの中の「クリア」ボタン(消しゴムのアイコン)をクリックし、「すべてクリア」を選ぶ。ここで重要なのは、キーボードのDeleteキーではないということ。Deleteキーはセルの「中身(コンテンツ)」を消すだけで、「書式」というゴミは残ってしまうからのう。
この3ステップを実行してからファイルを上書き保存してみなされ。ファイルサイズが驚くほど小さくなり、スクロールバーの動きも全く変わるはずじゃぞ。
わーっ!本当だ!博士の言う通りにやってみたら、さっきまで10MBあったファイルが3MBになりました!スクロールもぬるぬる動きます!すごい!

第3章:【実践②】Excelの頭脳を最適化!「揮発性関数」を鎮める方法
ふぉっふぉっふぉ、効果てきめんじゃったようじゃな。では次に、2つ目の贅肉、「揮発性関数」のダイエットに進もう。いくら部屋を綺麗にしても、中で人が常に走り回っておっては落ち着かんからのう。
揮発性関数…ですか。僕のファイルにもOFFSET関数がたくさん入っています。これが重い原因だったなんて…。でも、これを使わないと欲しいデータが取ってこれないんです。何か代わりの方法があるんですか?

その通りじゃ!OFFSET関数は非常に便利じゃが、揮発性関数の代表格。こやつを、より動作が安定しておる別の関数に置き換えるのが上級者への道じゃ。
代替案:OFFSET関数をINDEXとMATCHの組み合わせに置き換える
OFFSET関数は「このセルを基準に、下に〇個、右に△個ずれた場所の値を持ってきて」という命令じゃ。これを、二つの関数に分解するんじゃ。
- MATCH関数:「この値は、この範囲の中で何番目にありますか?」と位置(行番号や列番号)を探す専門家。
- INDEX関数:「この範囲の、上から〇番目、左から△番目の値は何ですか?」と指定された位置の値を取り出す専門家。
この二つを組み合わせれば、OFFSETと同じことができる上に、Excelの負担は格段に軽くなる。例えば、=OFFSET(A1, 3, 4) という数式は、MATCHで行と列の位置を探し、その結果をINDEXに渡すことで、=INDEX(範囲, MATCHの結果1, MATCHの結果2)のように書き換えられる。最初は難しく感じるかもしれんが、一度覚えれば一生使える強力な武器になるぞ。
緊急避難:手動計算モードの活用
どうしても関数の書き換えが難しい場合は、一時的な対処法として、「数式」タブの「計算方法の設定」を「自動」から「手動」に切り替えるという手もある。こうすれば、何か入力するたびに再計算が走ることはなくなり、自分の好きなタイミングでキーボードのF9キーを押して再計算させることができる。ただし、これは根本的な解決ではないことを忘れずにな。
第4章:【実践③】Excelに魔法の衣を!「バイナリ形式」保存の極意
関数の世界も奥が深いんですね…勉強になります!そして、最後の贅肉対策が「服の着替え」でしたっけ?ファイル形式を変えるだけで、そんなに変わるものなんですか?

うむ。これが最後の仕上げじゃ。やり方は非常に簡単じゃが、いくつか注意点もあるからよく聞くんじゃぞ。
手順:ファイルの種類を「Excelバイナリ ブック」にする
やり方はこれだけじゃ。「ファイル」タブから「名前を付けて保存」を選び、「ファイルの種類」のドロップダウンリストから「Excelバイナリ ブック (*.xlsb)」を選択して保存する。これだけで、ファイルサイズがさらに小さくなり、ファイルの開閉や保存の速度が目に見えて速くなるはずじゃ。
【警告】ただし、デメリットも知っておくのじゃ!
このバイナリ形式は万能ではない。以下のデメリットを理解した上で使い分けることが肝心じゃ。
- 互換性の低下:非常に古いバージョンのExcelや、Excel以外の表計算ソフトでは開けない場合がある。
- 破損時のリスク:ファイルが何らかの原因で破損した場合、通常の.xlsx形式よりも修復が困難になる傾向がある。
- マクロの区別がつかない:通常の.xlsxはマクロを含めないが、.xlsbはマクロを含むことができる。そのため、提供元が不明な.xlsbファイルは、マクロウイルスを警戒する必要がある。(マクロ付きファイルは通常.xlsmという拡張子で見分けがつくが、.xlsbではその区別がつかない)
したがって、この形式は「自分だけで使う、データ量が膨大な分析用ファイル」や「他人と共有するが、マクロは絶対に含まない参照専用ファイル」などに使うのがおすすめじゃ。
終章:快適なExcelライフを手に入れよう!
博士、ありがとうございました!「不要な書式のクリア」「揮発性関数の見直し」「バイナリ形式での保存」、この3つの裏ワザ、すごいです!あれだけ僕を苦しめた激重ファイルが、まるで別のファイルみたいにサクサク動いています。これならもう、残業しなくて済みそうです!

うむ、それは良かった!Excelは我々の仕事を助けてくれる非常に強力なツールじゃが、その特性を理解し、上手に付き合っていくことが大切なんじゃ。言わば、乗りこなすのが難しい名馬のようなもの。今日学んだ3つの技を「手綱」として、これからはExcelを自在に操り、快適な業務ライフを送るのじゃぞ!ファイルも人間と同じで、定期的なメンテナンス(贅肉チェック)を忘れずにな!