デジタル基盤の構築と先端技術の活用による変革の加速
本テクノロジー方針は、「デジタルで未来を創造し、社会に新たな価値を提供し続けるリーディングカンパニーとなる」を実現するため、技術面からその指針を示すものです。私たちは、テクノロジーを単なるサポート機能としてではなく、ビジネス変革と競争優位性確立のための戦略的な武器と位置づけ、積極的な投資と活用を進めます。
1. なぜデジタル変革が必要なのか?
デジタル技術とデータの進化は、社会やビジネス環境に大きな変革をもたらしています。当社は、この変革がもたらす影響を深く認識しており、これを以下のリスクと機会として捉え、全社的なデジタル変革(DX)を推進しています。
リスク
- 既存ビジネスモデルの陳腐化: デジタル技術の急速な進展に伴い、新たなサービスや競合他社が台頭する可能性があります。これにより、当社の現在の事業モデルが市場の変化に適応できなくなり、競争力を失うリスクがあると考えています。
- お客様ニーズへの対応遅れ: デジタルネイティブ世代の台頭や、よりパーソナライズされた体験を求めるお客様の期待は高まる一方です。これに対し、迅速かつ的確に対応できない場合、お客様の離反を招く恐れがあります。
- サイバーセキュリティリスクの増大: デジタル化の進展は、サイバー攻撃のリスクを飛躍的に増加させます。お客様情報や企業秘密の漏洩、あるいはシステム停止といった事態は、事業継続に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
- 技術的負債の増加: 既存のレガシーシステムが残存している場合、これが新たなデジタル技術の導入や、変化への迅速な対応を妨げる「技術的負債」となり、結果として競争力の低下を招くリスクがあります。
機会
- 新たな価値創造とビジネスモデルの確立: AIやIoTといった先端技術を積極的に活用することで、これまでの延長線上にはなかった画期的な製品・サービスや、革新的なビジネスモデルを創出する機会があります。これは、新たな収益源の確保に直結します。
- お客様体験(CX)の飛躍的向上: デジタルチャネルの強化や、データを活用したパーソナライズされたサービス提供を通じて、お客様の満足度を飛躍的に向上させることができます。これにより、お客様とのより強固で長期的な関係を構築します。
- 業務効率化と生産性向上: RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIを活用した定型業務の自動化、そしてデータに基づいた意思決定プロセスの改善は、業務効率を大幅に向上させます。これにより、従業員はより創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。
- 競争優位性の確立: デジタル技術を戦略的に活用し、データに基づいた迅速な意思決定と実行力を高めることで、市場における独自の地位を確立し、競合他社に対する持続的な優位性を築くことが可能です。
当社は、これらのリスクを適切に管理しつつ、デジタル技術がもたらす多大な機会を最大限に活用することで、企業価値の向上と持続的な成長を実現していくことに全力を尽くします。
2. 当社の目指す姿:DX推進の経営ビジョンとビジネスモデル
当社のDX推進に向けた経営ビジョンは、「デジタルで未来を創造し、社会に新たな価値を提供し続けるリーディングカンパニーとなる」ことです。
このビジョンを実現するため、私たちは以下のビジネスモデルの方向性を推進します。
- データ駆動型ビジネスへの転換: あらゆるデータを統合・分析し、お客様理解の深化、製品開発、マーケティング、業務改善など、すべての意思決定をデータに基づいて行います。
- サービス型ビジネスへの進化: 製品販売だけでなく、関連サービスを組み合わせたサブスクリプションモデルなど、継続的なお客様との接点と収益機会を創出します。
- エコシステム形成とオープンイノベーション: 外部パートナーやスタートアップ、研究機関との連携を強化し、共創を通じて新たな価値を生み出します。
- お客様中心の体験価値最大化: デジタル技術で、お客様が製品やサービスに触れるすべての接点で、シームレスでパーソナルな体験を提供します。
- サプライチェーン全体の最適化とレジリエンス強化: IoTやAIで、調達から生産、物流、販売までを一貫して最適化し、変化に強いサプライチェーンを構築します。
3. ビジョン実現のためのDX戦略
私たちの経営ビジョンとビジネスモデルを実現するため、以下のDX戦略を策定し、実行しています。これは「デジタル基盤の構築と先端技術の活用による変革の加速」を大方針としています。
基本原則
- ビジネス主導のテクノロジー活用: 技術導入は必ずビジネス成果と連動させます。
- お客様価値向上のための技術探求: 最新技術とデータ活用で、お客様体験の向上を追求します。
- データセントリックなアーキテクチャ: データは最も重要な資産であり、その活用サイクルを加速する基盤を構築します。
- アジリティとスケーラビリティの追求: 迅速なシステム構築・改修と、柔軟な拡張性を重視します。
- セキュリティと信頼性の確保: 最高レベルのセキュリティ基準を適用し、データとシステムの安全を守ります。
- テクノロジー人材の育成と活用: DXの担い手である「人」への投資を最優先します。
DX戦略推進に必要な体制・組織に関する事項
当社のDX戦略を確実に実行し、企業全体のデジタル変革を推進するため以下の体制と組織を構築・強化しています。
- 経営層による強力なリーダーシップ:
- 最高DX責任者(CDXO/Chief Digital Transformation Officer)の設置: DX推進全体を統括し、経営戦略とデジタル戦略の連携を強化するため、代表取締役CEOである井本雅嗣がCDXOを兼任します。これにより、経営トップがDX推進の旗振り役となり、迅速な意思決定と全社的なコミットメントを確保します。
- DX推進委員会の設置: 経営層、各事業部門長、IT部門長、人事部門長など、主要部門の責任者で構成される「DX推進委員会」を設置し、月次でDX戦略の進捗レビュー、重要課題の検討、リソース配分の最適化を行います。この委員会が、戦略の方向性を決定し、必要な予算と人員の確保を主導します。
- 部門横断的な推進体制:
- DX推進事務局の設置: CDXO直下に専任の「DX推進事務局」を設置し、DX推進委員会の事務局機能に加え、各事業部門におけるDXプロジェクトの進捗管理、横断的な課題解決支援、成功事例の共有、外部パートナーとの連携窓口としての役割を担います。
- 各事業部門におけるDX担当者の配置: 各事業部門にDX推進を専門とする担当者を配置し、事業部門固有の課題抽出、DXアイデアの具体化、現場への浸透を促進します。これにより、ビジネスとテクノロジーの橋渡し役として機能し、ボトムアップでのDX推進を促します。
- デジタル人材の確保と育成:
- 高度デジタル人材の採用と配置: データサイエンティスト、AIエンジニア、クラウドアーキテクト、サイバーセキュリティ専門家など、DX推進に不可欠な高度デジタル人材を積極的に採用し、戦略的プロジェクトに優先的に配置します。
- 全従業員のデジタルリテラシー向上: 階層別、職種別に合わせたデジタルリテラシー研修プログラムを体系的に整備し、全従業員がデジタル技術の基礎知識と活用スキルを習得できるよう支援します。特に、データに基づいた思考を促す「データドリブン文化」の醸成に注力します。
- アジャイル開発・DevOpsチームの拡充: 変化に迅速に対応できる組織文化を醸成するため、アジャイル開発手法やDevOpsの考え方を導入・実践するチームを増強し、開発と運用の連携を強化します。
- 外部パートナーとの連携:
- 技術・知見の積極的な活用: DX推進に必要な専門性やノウハウを補完するため、ITベンダー、コンサルティングファーム、スタートアップ企業、研究機関など、多様な外部パートナーとの連携を積極的に推進します。これにより、自社だけでは対応が難しい先端技術の導入や、新たなビジネスモデルの共同開発を加速させます。
これらの体制・組織を整備し、経営層から現場までが一丸となってDXを推進することで、当社の競争力を高め、持続的な企業価値向上を目指します。
戦略的技術領域と具体的な変革
- クラウドファースト戦略の徹底:
- 変革の概要: 新しいシステムは原則クラウドで構築し、既存システムも順次クラウドへ移行します。これにより、コスト効率を高め、迅速なサービス展開を可能にします。
- データ活用の側面: クラウド上の柔軟な環境で、大量データの効率的な処理と分析を可能にします。
- 高度なデータ分析・活用基盤の構築:
- 変革の概要: 社内外に散らばるあらゆるデータを一元的に管理するデータレイクやデータウェアハウスを整備します。これにより、部門横断的なデータ活用を促進し、データに基づいた意思決定を強化します。
- 具体的なデータ活用:
- お客様理解の深化とパーソナライズ: 購買履歴や行動データからお客様を詳細に分析し、個々に最適化された製品レコメンデーションやプロモーションを実現します。
- 需要予測と在庫最適化: 販売データや市場トレンドなどから需要を高精度で予測し、生産計画や在庫管理を最適化します。
- 製品・サービス開発の高速化: お客様からのフィードバックや製品利用データを分析し、新製品開発や既存製品改善に迅速に活かします。
- 業務プロセスの可視化と効率化: 業務ログや生産データからボトルネックを特定し、無駄を排除することで、業務効率と生産性を向上させます。
- AI/機械学習および関連技術の積極活用:
- 変革の概要: チャットボットによるお客様対応効率化、需要予測、品質管理など、様々な領域でAIや機械学習を導入します。これにより、社員の生産性を高め、お客様への個別最適化されたサービス提供を実現します。
- モダナイズされたアプリケーション開発・運用:
- 変革の概要: マイクロサービスやAPI活用を推進し、システム連携を容易にすることで、スピーディーな機能改修・追加を可能にします。開発と運用が連携するDevOps/SREの考え方に基づき、高品質なサービス提供を目指します。
- 最新のサイバーセキュリティ対策の継続的強化:
- 変革の概要: ゼロトラストモデルの導入を検討し、より強固なセキュリティ体制へ移行します。脆弱性対応、セキュリティ教育、インシデント対応計画を定期的に見直し、強化します。
- デジタルワークプレイス環境の整備:
- 変革の概要: 場所や時間に囚われない柔軟な働き方を支援するため、コラボレーションツールやセキュアなリモートアクセス環境を拡充します。
4. DX戦略の達成度を測る指標
私たちは、DX戦略の進捗と効果を客観的に評価するため、以下の指標(KPI)を設定し、定期的に達成度を測っています。評価結果は、次のアクションプランに反映させることで、戦略の実効性を高めています。
- 企業価値創造に係る指標(財務指標):
- DX投資対効果(ROI)、新規ビジネスの売上貢献率、営業利益率の向上。
- DX戦略実施により生じた効果を評価する指標:
- クラウド移行率、データ活用による業務改善件数、業務自動化率、お客様体験(CX)。
- DX戦略計画の進捗を評価する指標:
- データ統合率、デジタル人材育成目標達成率。
5. 経営トップからのメッセージ
当社の代表取締役CEOである井本雅嗣は、DX推進の重要性と進捗について、対外的に積極的に情報発信を行っています。
[当社代表取締役CEO:井本雅嗣] メッセージ(抜粋)
「私たちは、『デジタルで未来を創造し、社会に新たな価値を提供し続けるリーディングカンパニーとなる』という経営ビジョンを掲げ、全社を挙げたDX推進に取り組んでいます。
このビジョンを実現するため、私たちは特にデータ駆動型ビジネスへの転換を加速させています。お客様一人ひとりの購買履歴や行動データを深く理解し、これまでには提供できなかったパーソナライズされた体験と価値をお届けすることで、お客様との関係性をより一層強固なものにしていきます。例えば、AIを活用したレコメンデーションエンジンを強化することで、お客様が本当に必要とする情報を最適なタイミングで提供できるようになります。
また、社内業務においても、クラウドファースト戦略を徹底し、基幹システムのモダナイゼーションを推進しています。これにより、社員がより創造的な業務に集中できる環境を整備し、生産性の劇的な向上を目指します。既に、RPA導入による定型業務の自動化や、データに基づいた意思決定プロセスの導入により、目に見える成果が出始めています。
私たちは、単に技術を導入するだけでなく、デジタル変革を組織文化に深く根付かせ、従業員一人ひとりがデジタルを使いこなせるよう、人材育成にも積極的に投資しています。この変革の旅は決して平坦ではありませんが、私たちは挑戦し続けることで、お客様、パートナー、そして社会全体に新たな価値を提供し続けてまいります。今後の当社のデジタル戦略にご期待ください。」
(このメッセージは、当社公式ウェブサイトの「CEOメッセージ」セクション、で公表されています。)
6. 強固なセキュリティ基盤
DX戦略を安全に推進するための基盤として、サイバーセキュリティ対策を最重要視しています。経済産業省とIPAの「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に基づき、以下の対策を講じています。
- 経営者のコミットメントと体制構築: 経営トップがセキュリティ対策を主導し、専門責任者(CSO)のもと全社的な体制を整備しています。
- リスクアセスメントとポリシー策定: 定期的にリスクを評価し、情報セキュリティポリシーやインシデント対応規程を策定・周知しています。
- 多層防御と技術的対策: ファイアウォール、IDS/IPS、多要素認証(MFA)、データの暗号化など、様々な技術を組み合わせた多層的な防御策を導入しています。クラウド利用時もセキュリティを徹底しています。
- 従業員へのセキュリティ教育: 全従業員に対し、定期的な情報セキュリティ研修や標的型攻撃メール訓練を実施し、セキュリティ意識を高めています。
- インシデントレスポンス体制の確立: セキュリティインシデント発生時の連絡、対応、復旧、再発防止までの一連のプロセスを定めています。
これらの対策を継続的に強化することで、お客様と当社の貴重な情報を守り、安全なデジタル環境を提供していきます。