アオウル博士: ITとセキュリティの専門家。ミマワリの頼れる相談相手。
ミマワリ: アオウルのキャラクター。PCやスマホは毎日使うけど、たまにツールがうまく使えず困ってしまう。
スプレッドシートの売上データ分析で、「特定の商品の合計だけ知りたい」「担当者ごと、かつ期間内の売上を計算したい」といったお悩みはありませんか?SUMIF関数とSUMIFS関数を使えば、複雑な条件での合計が一瞬で可能に。IT専門家のアオウル博士が、初心者にも分かりやすく会話形式で徹底解説します。
博士、助けてください!今、月間の売上報告書を作っているんですが、商品別の売上合計を出すのにすごく時間がかかっていて…。データの中から「リンゴ」の行だけを探して、電卓で一つずつ足していく作業がもう限界です!何かいい方法はありませんか?


おぉ、ミマワリ君、それは骨が折れる作業じゃな。じゃが、その悩みこそスプレッドシートの関数が得意とするところじゃ。電卓でポチポチやる時代はもう終わりじゃよ。今日マスターするSUMIF(サムイフ)関数を使えば、君がやっている作業は、たったの10秒で終わるようになるぞ。
えぇっ!?10秒ですか!?信じられない…。ぜひ、そのSUMIFとかいう魔法の呪文を教えてください!


うむ!SUMIFは、「もし(IF)条件に合っていたら、合計(SUM)する」という意味の関数じゃ。まさに「リンゴの売上だけ合計したい」という君の要望にピッタリじゃな。さらに、もっと複雑な「A支店のリンゴの売上合計」のような計算をしたくなったら、その上位互換であるSUMIFS(サムイフエス)関数の出番じゃ。一つずつ、じっくり解説していこう。
第1章:基本の「き」!SUMIF関数を使いこなそう
はい!お願いします!僕の売上リストは、A列に「商品名」、B列に「売上金額」が入力されています。このリストから「リンゴ」の合計売上を出したいです。


よろしい。SUMIF関数の構造は、3つのパーツで成り立っておる。これを「引数(ひきすう)」と呼ぶんじゃが、難しく考えなくていい。「コンピュータへの3つの命令」だと思ってくれれば良いぞ。
=SUMIF( ①条件を探す範囲 , ②どんな条件か , ③合計する範囲 )
① 条件を探す範囲 (条件範囲)
これから指定する「リンゴ」という文字を、どこから探せばいいかを教える場所じゃ。君のリストの場合、「商品名」が入力されているA列全体、例えば A2:A100 のようになるな。
② どんな条件か (検索条件)
①の範囲から何を探すかを指定する。今回は「リンゴ」を探したいので、"リンゴ" と入力する。文字の場合は、必ず " (ダブルクォーテーション)で囲むのがルールじゃ。
③ 合計する範囲 (合計範囲)
①で「リンゴ」が見つかった時に、実際に足し算してほしい数値が入力されている範囲を指定する。君のリストでは「売上金額」が入っているB列じゃから、B2:B100 となる。
実際に組み立ててみよう!
さあ、この3つの命令を合体させて、合計を表示したいセルに数式を入力してみよう。
=SUMIF(A2:A100, “リンゴ”, B2:B100)
どうじゃ?Enterキーを押すと、電卓で苦労していた「リンゴ」の合計売上が一瞬で表示されたじゃろう?
本当だ!できました!すごい…今までの苦労はなんだったんだ…。
博士、もし「ミカン」の合計を出したい場合は、数式の "リンゴ" の部分を "ミカン" に書き換えればいいんですね?


その通り!素晴らしい応用力じゃ!さらに一歩進んだテクニックとして、検索条件にセル番地を使う方法がある。例えば、D1セルに「リンゴ」と入力しておき、数式を以下のように変更するんじゃ。
=SUMIF(A2:A100, D1, B2:B100)
こうすれば、D1セルの文字を「ミカン」や「バナナ」に変えるだけで、合計金額が自動で再計算されるようになる。いちいち数式を書き換えなくても、集計表が作れるというわけじゃな。
第2章:複数条件ならおまかせ!SUMIFS関数の実力
SUMIF、完璧に理解しました!でも博士、実はもう一つやりたいことがあって…。今度は、「営業担当の鈴木さんが販売したリンゴの売上合計」を知りたいんです。条件が「鈴木さん」と「リンゴ」の2つになりますが、こういうこともできますか?


もちろんども!それこそがSUMIFS関数の出番じゃ。SUMIFの最後に「S」が付いて複数形になっておる通り、2つ以上の複数の条件で合計を出すことができるんじゃ。
SUMIFSは、SUMIFと命令するパーツの順番が少し違うから注意が必要じゃ。最初に「合計したい範囲」を教えるのがポイントじゃな。
=SUMIFS( ①合計する範囲 , ②条件範囲1 , ③条件1 , ④条件範囲2 , ⑤条件2 , …)
ミマワリ君のリストが、A列に「商品名」、B列に「売上金額」、C列に「担当者名」となっていると仮定して、一つずつ当てはめてみよう。
① 合計する範囲
まず、最終的に足し算したい「売上金額」の範囲、つまり B2:B100 を指定する。
② 条件範囲1
一つ目の条件「リンゴ」を探す範囲じゃから、「商品名」のA列、A2:A100 を指定する。
③ 条件1
一つ目の条件そのもの、つまり "リンゴ" を指定する。
④ 条件範囲2
二つ目の条件「鈴木さん」を探す範囲、「担当者名」のC列、C2:C100 を指定する。
⑤ 条件2
二つ目の条件そのもの、"鈴木さん" を指定する。
全部合体させると、こうなる!
=SUMIFS(B2:B100, A2:A100, “リンゴ”, C2:C100, “鈴木さん”)
この数式はコンピュータに「まずB列を合計する準備をして。次にA列から”リンゴ”を探し、なおかつC列から”鈴木さん”を探して。両方の条件に一致した行のB列だけを足し算してね」と命令しておるのじゃ。条件は3つ、4つと後ろにどんどん追加していくことができるぞ。
第3章:SUMIF(S)を極める!便利な応用テクニック
SUMIFSも完璧です!これで報告書作りがすごく楽になります!博士、他にも知っておくと便利な使い方ってありますか?例えば、「〇〇以外」とか「△△以上」みたいな条件で合計することはできますか?


ミマワリ君、目の付け所が良いのう!まさにその通り、SUMIF(S)関数の真価は、そういった「比較演算子」と呼ばれる記号を組み合わせることで発揮されるんじゃ。いくつか代表的なものを紹介しよう。
テクニック①:「〇〇以外」を合計する
「リンゴ以外」の商品の売上合計を出したい場合は、条件に <> を使う。これは「等しくない」という意味の記号じゃ。
=SUMIF(A2:A100, “<>リンゴ”, B2:B100)
テクニック②:「△△以上/より大きい」を合計する
例えば、「売上金額が10,000円以上の取引だけを合計したい」という場合は、条件に >= (以上) や > (より大きい) を使う。この場合、条件範囲と合計範囲が同じB列になるのが面白いところじゃ。
=SUMIF(B2:B100, “>=10000”, B2:B100)
※合計範囲を省略して =SUMIF(B2:B100, ">=10000") と書くことも可能じゃ。
テクニック③:「日付」で条件を指定する
売上リストに日付の列(仮にD列とする)がある場合、「2025年10月1日以降の売上」を合計することもできる。
=SUMIFS(B2:B100, D2:D100, “>=2025/10/1”)
さらに、「2025年10月中の売上」のように期間で絞り込みたいなら、SUMIFSで「10月1日以上」と「10月31日以下」の2つの条件を指定すればよい。
=SUMIFS(B2:B100, D2:D100, “>=2025/10/1”, D2:D100, “<=2025/10/31")
すごい!比較演算子って記号を使うだけで、こんなに色々なことができるんですね!これなら、どんな複雑な集計も怖くないです。博士、本当にありがとうございました!明日から仕事のスピードが格段に上がりそうです!


うむ、その意気じゃ!SUMIFとSUMIFSは、データ分析の第一歩とも言える非常にパワフルな関数じゃ。これを使いこなせるかどうかで、作業効率は天と地ほど変わってくる。今日学んだことを忘れずに、どんどん活用していくんじゃぞ。そうすれば、データを見るのがもっと楽しくなるはずじゃ。
