アオウル博士: ITとセキュリティの専門家。ミマワリの頼れる相談相手。
ミマワリ: アオウルのキャラクター。PCやスマホは毎日使うけど、たまにツールがうまく使えず困ってしまう。

Google Workspaceに搭載されたAI「Gemini」。夢のツールだと思って使ってみたら、「全然違う答えが返ってきた」「そもそもアイコンが出てこない」とイライラしていませんか? 今回は、AIに振り回されて涙目のミマワリ君を、アオウル博士が「AIを使いこなす側」へと導きます。
博士、もうAIなんて信じません!Geminiに「競合A社の去年の売上をまとめて」って頼んだら、ものすごくもっともらしい数字と表を作ってくれたんです。でも会議で発表したら「その数字、全然違うぞ!」って上司に怒られちゃって…。Geminiの嘘つき!

ふむ、それは典型的な「ハルシネーション(幻覚)」じゃな。ミマワリ君、AIは「辞書」でも「検索エンジン」でもない。「言葉の確率計算機」なんじゃよ。
第1章:なぜAIは息をするように嘘をつくのか?
Geminiなどの生成AIは、膨大なテキストデータを学習して「この言葉の次には、この言葉が来る確率が高い」という予測を繰り返して文章を作っておる。
例えば「昔々、あるところに」と言われたら「おじいさんとおばあさんが」と続けるじゃろ?それと同じで、「売上表を作って」と言われたら、事実はどうあれ「売上表っぽい数字の羅列」を作り出してしまうんじゃ。これを「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」と呼ぶ。
ええっ!?じゃあ、調べ物には使えないってことですか?仕事で使えないじゃないですか!

早合点はいかん。AIに「事実」を語らせるには、「グラウンディング(根拠づけ)」という指示が必要なんじゃ。
ただ「売上を教えて」ではなく、「Googleドライブ内の【2024年度決算資料】というファイルを参照して、売上を抽出して」と指示する。あるいは、Geminiの回答の下にある「Google検索ボタン(Gマーク)」を押して、情報の裏付けを取る。これをサボると、AIは平気で夢物語を語り出すぞ。
第2章:「Geminiが動かない!」よくある3つの落とし穴
嘘については分かりました。でも博士、そもそも僕のパソコン、スプレッドシートを開いてもGeminiのキラキラしたアイコンが出てこないときがあるんです。隣の席の人は出てるのに…。これって嫌われてます?

AIに感情はないから安心せい。Geminiが動かない、アイコンが出ない理由は主にこの3つじゃ。
- ライセンスが付与されていない: 会社でGemini for Google Workspaceを契約していても、管理者(情シス)がお前のIDに「ライセンスの割り当て」を行っていないと機能は使えん。まずは管理者に確認じゃ。
- 言語設定の壁: 一部の最新機能は、Googleアカウントの言語設定が「English (US)」でないと表示されない場合がある。日本語対応は順次進んでいるが、どうしても使いたい機能が出ない時は、一時的に言語設定を英語に変えてみるのも手じゃ。
- ファイルの形式が古い: これが意外と盲点じゃ。「.xlsx」(Excel形式)のままスプレッドシートで開いていると、Geminiの一部機能が制限されることがある。「Googleスプレッドシートとして保存」し直すと、アイコンが現れることが多いぞ。
第3章:その指示では動かない!「プロンプト」の劇的改善
なるほど、形式の問題かあ…。あ、でもアイコンが出てきても、「いい感じのメール書いて」って頼んだら、ロボットみたいなカチコチの文章が出てきて、結局自分で書き直しました。やっぱりAIってセンスないですよね。

それはGeminiのせいではない。ミマワリ君の指示(プロンプト)が「雑」だからじゃ!
「いい感じ」なんて曖昧な言葉、人間でも困るわ!AIに指示を出すときは、以下の「P・C・Fフレームワーク」を使うんじゃ。
- P (Persona) 役割: 「あなたはベテランの広報担当です」
- C (Context) 背景: 「新商品の発売が1ヶ月遅れることになりました」
- F (Format) 形式: 「取引先に送るお詫びメールとして、誠意が伝わる丁寧なトーンで、400文字以内で作成してください」
ここまで指定して初めて、Geminiは「使える」回答を出してくる。「察してちゃん」ではAIは使いこなせんぞ。
第4章:一番怖いトラブル?「情報漏洩」の真実
プロンプト、勉強します…。最後に一つだけ。さっき「ドライブのデータを参照して」って言いましたけど、会社の極秘ファイルをAIに読ませたら、その内容を学習されちゃって、他の会社の人の回答に使われたりしませんか?それが怖くて使えないんです。

良い質問じゃ!そこが最も重要なポイントじゃな。
結論から言うと、「企業向けプラン(Gemini for Google Workspace)」を使っている限り、お前が入力したデータや参照したファイルが、AIの学習に使われることはない。
Googleは規約で明確に「Workspaceのデータは、基礎モデルのトレーニングには使用しない」と明記しておる。つまり、社内の情報は社内だけで守られる「閉じたAI」なんじゃ。
逆に言えば、個人の無料GoogleアカウントでGeminiを使う場合は、設定次第で学習に使われる可能性もあるから注意が必要じゃな。会社で使うなら、必ず会社のライセンスで使うこと。これが鉄則じゃ!
よかった~!それなら安心して「売上表」の作成を頼めます!
①ライセンス確認して、②スプレッドシート形式にして、③「P・C・F」で具体的に指示する。これで完璧ですね!

うむ、飲み込みが早くて助かるわい。AIは魔法の杖ではないが、使い手次第で最強の武器になる。「誤回答」や「トラブル」は、AIの限界を知り、正しい手順を踏むことでほとんど解決できるんじゃ。恐れず、賢く使い倒すんじゃぞ、ミマワリ君!