広告キャンペーンを成功させるためには、しっかりとした目標設定が欠かせません。「最終的にどれくらいの成果(コンバージョン)を目指すか」はもちろん重要ですが、「そのために、どれくらいの『人』に広告を見てもらえばいいのだろう?」と考えたことはありませんか?
この「広告が届いた人数」のことをリーチ数と呼びます。
やみくもに広告を配信するのではなく、適切なリーチ数の目安を持つことで、より効果的な予算配分や配信戦略を立てることが可能になります。
今回は、皆様が目指す「コンバージョン(商品購入やお問い合わせなどの成果)」から逆算して、キャンペーンに必要なリーチ数の目安を計算する方法を分かりやすくご紹介します。
なぜリーチ数の目標設定が大切なのか?
広告は、ただ多くの人に見てもらえれば良いというものではありません。関心を持ってくれそうな人に、適切な回数を見てもらうことが重要です。
リーチ数の目標を設定することで、
- 予算が適切か判断しやすくなる:「これくらいの成果を出すには、最低でもこれくらいの人に広告を届ける必要がある」という目安がわかります。
- 広告の配信戦略が立てやすくなる:目標リーチ数に応じて、どの広告媒体を使うか、どのようなターゲット設定にするかなどを具体的に検討できます。
このように、リーチ目標は効果的な広告運用の羅針盤のような役割を果たしてくれるのです。
コンバージョン目標からリーチ数を逆算する簡単3ステップ
少し計算が必要になりますが、ステップごとに考えれば難しくありません。一緒に見ていきましょう。
ステップ1:目標達成に必要な「ウェブサイト訪問者数」を計算しよう
まず、「目標とする成果(コンバージョン)を達成するには、何人の人にウェブサイトやランディングページを訪問してもらう必要があるか?」を考えます。
これには「コンバージョン率(CVR)」という指標を使います。これは、サイトを訪問した人のうち、どれくらいの割合が成果に至ったかを示す数値です。(例:100人訪問して1人購入したら、CVRは1%)
必要なウェブサイト訪問者数 = 目標コンバージョン数 ÷ 想定コンバージョン率(CVR)
- 例:
- 目標コンバージョン数:10件 (例: 商品購入)
- 想定コンバージョン率(CVR):1% (訪問者の100人に1人が購入すると仮定)
- 必要なウェブサイト訪問者数 = 10件 ÷ 0.01 = 1000人
この場合、目標の10件の成果を達成するには、まず1000人にサイトを訪問してもらう必要がある、と計算できます。
ステップ2:訪問者を集めるために必要な「広告表示回数」を計算しよう
次に、「ステップ1で計算した訪問者数を集めるには、広告を何回表示させる必要があるか?」を考えます。
通常、広告がクリックされるとサイト訪問につながるので、「必要な訪問者数 ≒ 必要なクリック数」と考えられます。
ここで使うのが「クリック率(CTR)」です。これは、広告が表示された回数のうち、どれくらいの割合でクリックされたかを示す数値です。(例:広告が1000回表示されて5回クリックされたら、CTRは0.5%)
必要な広告表示回数(インプレッション数) = 必要なクリック数 ÷ 想定クリック率(CTR)
- 例:
- 必要なクリック数:1000回 (ステップ1より)
- 想定クリック率(CTR):0.5% (広告表示200回につき1回クリックされると仮定)
- 必要な広告表示回数 = 1000回 ÷ 0.005 = 200,000回
つまり、1000回のクリック(サイト訪問)を獲得するには、広告を約20万回表示させる必要がある、という計算になります。
ステップ3:必要な広告表示回数を達成するための「リーチ人数」を推定しよう
いよいよ最後のステップです。「ステップ2で計算した広告表示回数を達成するには、何人の『人』に広告を届ける必要があるか?」を推定します。
同じ人に広告が何回も表示されることがありますよね。そこで、「平均フリークエンシー」という考え方を使います。これは、広告が届いた人(リーチした人)1人あたり、平均で何回広告が表示されたかを示す数値です。
目標リーチ人数 = 必要な広告表示回数 ÷ 想定平均フリークエンシー
- 例:
- 必要な広告表示回数:200,000回 (ステップ2より)
- 想定平均フリークエンシー:4回 (1人あたり平均4回広告が表示されると仮定)
- 目標リーチ人数 = 200,000回 ÷ 4回 = 50,000人
この計算により、目標の10件のコンバージョンを達成するためには、推定で約50,000人に広告を届ける(リーチする)必要がある、という目安が立ちました!
計算する上での大切なポイント
この計算で最も重要なのは、「想定コンバージョン率(CVR)」「想定クリック率(CTR)」「想定平均フリークエンシー」をどれだけ現実に近い数値で設定できるかです。
- 過去のデータを活用しよう: もし以前に同様のキャンペーンを実施したことがあれば、その時の実績データを参考にしましょう。
- 初めての場合は?: 業界の平均値などを参考に仮の数値を設定し、キャンペーン開始後に実際のデータを見ながら調整していくのがおすすめです。
- あくまで目安と捉えよう: リーチ数は広告配信の状況や競合によっても変動します。計算結果は「目標達成に必要な規模感」として捉え、途中で計算した「必要なクリック数」や「必要な広告表示回数」も合わせて目標達成の指標(KPI)とすると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 目標とするコンバージョン数から逆算することで、キャンペーンに必要なリーチ数の目安を立てることができます。
もちろん、これらの数値はあくまで計画段階での推定値です。大切なのは、計画(Plan)を立て、実行(Do)し、結果を測定(Check)し、改善(Action)していくPDCAサイクルを回すことです。
今回の計算方法を活用して、より計画的で効果的な広告運用を目指しましょう! もし、目標設定や数値の計算方法についてご不明な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。